--- 中 国 古 伝 兵 法 三 十 六 計 ---  
六六三十六、数中に術あり。
術中に数あり、陰陽の燮理、機はその中に在り。
機は設くべからず、設くれば則ちあたらず。
01 瞞天過海 天を瞞いて海を過る 備え周(アマネ)かば則ち意怠る、常に見れば則ち疑わず。
陰は陽の内に在り、陽の対に在らず。太陽は太陰なり。
02 囲魏救趙 魏を囲んで趙を救う 敵を共にするは分敵かつに如(シ)かず。
敵の陽なるは敵の陰なるに如かず。
03 借刀殺人 刀を借りて人を殺す 敵すでに明らかにして、友いまだ定まらされば、
友を引きて敵を殺さしめ、自ら力をさず、損を以って推演す。
04 以逸待労 逸を以って労を待つ 敵の勢(セイ)を困(クルシ)むるには、
戦いを以ってせず、剛損して柔を益す。
05 趁火打劫 火に趁んで劫を打く 敵の害大なれば、勢いに就(ツ)き利を取る。剛、柔を決するなり。
06 声東撃西 東に声して西を撃つ 敵の志乱萃(ランスイ)し、虞(ハカ)らざるは、坤(コン)下兌(ダ)上の象なり。
その自ら主(ツカサ)どらざるを利してこれを取る。
 
07 無中生有 無の中に有を生ず 誑(アザム)くなり。誑くにあらざるなり。
その誑く所を実にするなり。少しく陰、太(ハナハ)だ陰、太だ陽なり。
08 暗渡陳倉 暗に陳倉に渡る これに示すに動を以ってし、その静にして主あるを利す。
益は動きて巽(シタガ)う。
09 隔岸観火 岸を隔てて火を観る 陽乖(ハナ)れ序乱るれば、陰以って逆を待つ。
暴戻恣睢(ボウレイシキ)は、その勢自を斃(タオ)れん。
順以って動くは予なり、予は順以って動く。
10 笑裏蔵刀 笑いの裏に刀を蔵す 信にしてこれを安んじ、陰(ヒソ)かに以ってこれを図る。
備えて後に動き、変あらしむることなかれ。中を剛にし外を柔にするなり。
11 李代桃僵 李(スモモ)、桃に代わって僵る 勢い必ず損あり、陰を損いて以って陽を益す。
12 順手牽羊 手に順いて羊を牽く 微隙の在るは必ず乘ずる所なり。微利の在るは必ず得る所なり。
少しく陰、少しく陽。
 
13 打草驚蛇 草を打って蛇を驚かす 疑わば以って実を叩き、察して後に動く。
復するは陰の媒(バイ)なり。
14 借屍還魂 屍を借りて魂を還す 用うるある者は、借るべからず。用うる能わざる者は、借るを求む。
用うる能わざる者を借りてこれを用うるは、
我より童蒙に求むるにあらず、童蒙より我に求む。
15 調虎離山 虎を調って山を離れしむ 天を待って以ってこれを困め、人を用いて以ってこれを誘う。
往けば蹇(ナヤ)み、来れば返る。
16 欲擒姑縦 擒えんと欲すれば姑く縦つ 逼れば則ち兵を反さる。走らしめば則ち勢いを减ず。
緊く随いて迫ることなかれ。その気力を累しめ、
その闘志を消し、散じて後擒うれば、兵刃に血ぬらず。需は孚(マコト)あり、光なり。
17 抛磚引玉 磚(レンガ)を抛げて玉を引く 類以ってこれを誘い、蒙を撃つなり。
18 擒賊擒王 賊を擒えるには王を擒えよ その堅きを摧(クジ)き、その魁(カシラ)を奪い、以ってその体を解く。
竜、野に戦うは、その道窮まり。
 
19 釜底抽薪 釜の底より薪を抽く その力に敵せず、而してその勢いを消すは、
兌(ダ)下乾(ケン)上の象なり。
20 混水摸魚 水を混ぜて魚を摸る その陰乱に乖じ、その弱くして主なきを利す。
随は以って晦(ヒグレ)に向かえば入りて宴息(エンソク)す。
21 金蝉脱殻 金蝉、殻を脱す その形を存し、その勢を完うすれば、友疑わず、敵動かず。
巽(シタガ)いて止まるは、蠱(コ)なり。
22 関門捉賊 門を関して賊を捉える 小敵はこれを困む。剥は、
往く攸(トコロ)ありに利(ヨロ)しからず。
23 遠交近攻 遠く交わり近く攻む 形禁じ勢い格(ソム)けば、利は近く取るに従い、
害は遠隔を以ってす。上火下沢なり。
24 仮道伐虢 道を仮りて虢を伐つ 両大の間、敵脅(オビヤカ)すに従を以ってすれば、
我仮るに勢を以ってす。困は、言うことあるも信ぜらしず。
 
25 偸樑挽柱 樑を偸(ヌス)み柱を挽(カ)う 頻りにその陣を更(カ)え、その勁旅(ケイリヨ)を抽(ヌ)き、
その自ら敗るを待ちて、後これに乘ず。その輪を曵(ヒ)くなり。
26 指桑罵槐 桑を指して槐を罵(ノノシ)る 大、小を凌(シノ)ぐは、警(イマシ)めて以ってこれを誘う。
剛中にして応じ、険を行ないて須なり。
27 仮痴不癲 痴を仮るも癲せず 寧(ムシ)ろ偽りて知らずとなして為さずとも、偽りて知を仮るをなして妄りに為すことなかれ。
静にして機を露わさず。囓共屯(チュン)なり。
28 上屋抽梯 屋に上げて梯を抽(ハズ)す これを仮るに便を以ってし、これを唆(ソソノ)かして前(スス)ましめ、
その援応を断ち、これを死地に陥(オト)す。毒に遇うとは、位当たらざればなり。
29 樹上開花 樹上に花を開(サカ)す 局を借りて勢を布(シ)けば、力小なれども勢大なり。
鴻(カリ)、逵(キ)に漸(スス)む、その羽もって儀となすべし。
30 反客為主 客を反して主と為す 隙に乘じて足を挿し、その主機を扼(オサ)えよ。
漸の進むなり。
 
31 美人計 美人の計 兵強きは、その将を攻む。将智なるは、その情を伐つ。
将弱く兵頽(クズ)るれば、その勢い自ら萎(シボ)まん。利もて寇を御し、順にして相保つなり。
32 空城計 空城の計 虚なるはこれを虚にし、疑中に疑を生ぜしむ。剛柔の際、奇にしてまた奇なり。
33 反間計 反間の計 疑中の疑なり。
これに比すること内よりすとは、自ら失わざればなり。
34 苦肉計 苦肉の計 人、自ら害せず、害を受くれば必ず真なり。
真を仮りとし仮りを真とせば、間以って行なうを得ん。
童蒙の吉とは、順にして巽(ソン)なればなり
35 連環計 連環の計 将多く兵衆(オオ)くば、以って敵すべからず。
そのをして自ら累(ツカ)れしめ、以ってその勢いを殺(ソ)ぐ。
師に在りて中すること吉なりとは、天寵(テンチョウ)を承くればなり。
36 走為上 走(ニ)ぐるを上と為す 全師、敵を避く。
左(シリゾ)き次(ヤド)るも咎なきは、いまだ常を失わざるなり。